今回はイタリア人建築家ルイジ・ヴェラーティ氏の傑作バスタブ《グルービーエイト》の開発秘話をご紹介致します。
《グルービーエイト》で採用しているアクリル樹脂は、成型の自由度が高い上に熱伝導率が小さいため、触ったときに冷たさを感じないのが特徴です。さらに軽い、汚れにくい、ひび割れや変形などによる漏水の心配が少ないというメリットが揃っています。
開発にあたってはヴェラーティ氏と幾度も打ち合わせを重ねました。同氏が次々とデザインスケッチを描いていく中「技術的に製造可能か」「先進性を備えているか」「コストパフォーマンスに優れているか」などを検討していきました。
私の仕事は「ヴェラーティ氏のデザインポリシーを守りながら製品を具現化させること」でした。来る日も来る日も製造工場の会議室で図面を広げながら製造方法を検討しました。詳細な図面を書きおこし、イメージの作成と原型製造に向けた準備を行います。同じくヴェラーティ氏がデザインした洗面ボウル《ラディー75》同様、独特な形状には苦労させられました。技術的な面もそうですが、イタリア人の考える造形デザインをものづくりの現場に落とし込むのが最大の難関です。
《グルービーエイト》の3次元曲面はどのライン・面も全て流れるようにつながります。図面では表現できない部分は3DCGで忠実にイメージを作成し、型製造の担当者にイメージを伝えました。成型は「バキュームインフュージョン&バック」という手法を採用しました。熱を加えた樹脂が入っている型の中を減圧する(すき間の空気を抜く)ことで型そっくりに成型します。この技術は自動車や航空機製造で幅広く使われおり、軽くて強度ある製品を作ることが可能です。(写真は同じ型の構成で成型したバスタブです)
型から外すと端部はこのような形状で仕上がります。端部をカットし、内面と外面をシームレス接合(継ぎ目のない接合方法)で処理していきます。なかなか手間のかかる作業ですが、仕上がり具合の肝ですので何度も研磨処理を行いピカピカに仕上げていきます。
写真は成型された《グルービーエイト》です。ベースフレームやアジャスター付の脚、排水パーツを取付け各部のチェックを行います。この時点で仕上がりやエッジ形状・表面の平滑面のチェック、各パーツの取付状況のチェックを行い、改善点を見つけては、型の修正・成型品のチェックを繰り返します。
バスタブの裏面を見ることは少ないですが、ガラス繊維のマットをバスタブ全面に施しているので、軽量でありながら抜群の強度を発揮します。
このような製造工程を経て、ようやく《グルービーエイト》が完成します。美しく流れるような3次元曲面のバスタブが生まれました。アクセントになるのがオーバーフロー部に採用した高品質のドイツ・フィーガ社製パーツです。デザイナー住宅やホテルライクなバスルームにぴったりのバスタブです。




























